2010/11/14
なるたけ早く鮮やかに獲物を仕止めたいといふ欲望
「評家は猟人に似てゐて、
なるたけ早く鮮やかに獲物を仕止めたい
といふ欲望にかられるものである。
ドストエフスキイも、
夥しい評家の群れに取巻かれ、
各種各様に仕止められた。
その多様さは、殆ど類例がない。
読んでみて、それぞれ興味もあり有益でもあつたが、
様々な解釈が累々と重なり合ふところ、
あたかも様々な色彩が重なり合ひ、
それぞれの色彩が、
互に他の色彩の余色となつて色を消し合ふが如く、
遂に一条の白色光線が現れ、
その中に原作が元のまゝの姿で
浮び上つて来る驚きをどう仕様もない。
(中略)
一条の白色光線のうちに身を横たへ、
あれこれの解釈を拒絶する事を、
何故一つの特権と感じてはいけないのだらうか。」
小林秀雄
「『罪と罰』について?」1948
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(英名:IN PRAISE OF TEXT)
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2010/10/31
デ・クーニングは言う「過去は私に影響を与えない」
「…ニューヨークの画家
ウィレム・デ・クーニングが、
フィラデルフィアの芸術同盟で講演を行ない、
講演の後に、
質疑応答の討論がもたれた。
或る人が
デ・クーニングに、
彼に最も影響を与えた
過去の画家は誰か、
と尋ねた。
デ・クーニングはこう言った。
「過去は私に
影響を与えない。
私が過去に
影響を与えるのだ。」」
ジョン・ケージ
(小沼純一編)
『ジョン・ケージ著作選』ちくま学芸文庫 2009 p.28
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2010/10/20
文学上の作品ではあるが、歴史文学とはいひかねよう
「(歴史小説には)古人の心事や
行動に新解釈を施さうとする
動機から出たものもあるが、
その新解釈がもし
その時代の思想によってではなくして、
それとは違つた
現代人の思想に本づいて
せられたならば、
それは歴史的変化を
無視したものであるから、
かゝるものは
文学上の作品ではあるが、
歴史文学とは
いひかねよう」
津田左右吉
「日本の文学史に於ける歴史文学」1951年10月『文学』
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2010/10/13
最近彼の書く作品はすべてこのことを実証している
「「僕の場合、
発想の基本は
芝居も小説も含めて、
やはり他人との関係
ということが
ずっと主なテーマだ
……いろいろなバリエーションは
あるけれど……」と
安部公房自身語っているが、
最近彼の書く作品は
すべてこのことを
実証している。」
V.ウィンケルヘフェロバー(栗栖継訳)
「安部公房」
『日本文学全集85安部公房』集英社 昭和43年 p.432
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2010/10/09
目的は読んでもらうこと。お金はそのあとです
「「読者が
何章か読む可能性があれば、
かならずあとで
その本を買ってくれると
私は思いました」
コエーリョはインタビューで
こう語っている。
「作者の究極の目的は
読んでもらうことです。
お金は
そのあとです」」
クリス・アンダーソン
『フリー <無料>からお金を生みだす新戦略』日本放送出版協会 2009 p.310
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2010/10/07
快楽とは物事を特別な角度からながめることだ
「快楽とは
物事を特別な角度からながめることだ。
快楽とは、
次第に老いぼれていく、
用心深く、
口やかましく、
いつもびくびくしている肉体の束縛から
ほんの少しのあいだ
解放されることだ。
たぶん、
おれは、
麻薬やマリハナやコカインのなかに
捜し求めていたものを
イェージのなかに見出すだろう。
イェージこそ
最後の物になるかもしれない。」
ウィリアム・バロウズ
『ジャンキー』末尾 むすび
思潮社 1980 p.221
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2010/10/05
初江はそっと自分の写真に手を三島『潮騒』むすび
「初江はそっと
自分の写真に手をふれて、
男に返した。
少女の目には矜りがうかんだ。
自分の写真が新治を守った
と考えたのである。
しかしそのとき
若者は眉を聳やかした。
彼はあの冒険を切り抜けたのが
自分の力であることを
知っていた。」
三島由紀夫
『潮騒』
末尾 むすび
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2010/10/02
成熟をするとは、一体どういうことか。
「成熟をするとは、一体どういうことか。
成熟するというのは、さまざまな経験を積んでいくことだ、と一先ずしておこう。
では、経験とはなんだろうか。
ドイツの哲学者へーゲルは、
経験を「自分の真実を失うこと」だと書いている。
自分の真実を失う、
つまりはこれが自分なんだ、自分はこういう人間であり、
そのように認識され規定を試みてみた人間として、
この世の中を見ているんだという、
自信というよりも、
自認と足場が崩壊し、
自己が自己として、
自分にたいしてもっていた信頼感なりあてにする気持ちが
雲散霧消してしまうこと、
それが経験なのだ。」
福田和也
『最も危険な名作案内』ワニブックス 2009 p.4-5
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成熟するというのは、さまざまな経験を積んでいくことだ、と一先ずしておこう。
では、経験とはなんだろうか。
ドイツの哲学者へーゲルは、
経験を「自分の真実を失うこと」だと書いている。
自分の真実を失う、
つまりはこれが自分なんだ、自分はこういう人間であり、
そのように認識され規定を試みてみた人間として、
この世の中を見ているんだという、
自信というよりも、
自認と足場が崩壊し、
自己が自己として、
自分にたいしてもっていた信頼感なりあてにする気持ちが
雲散霧消してしまうこと、
それが経験なのだ。」
福田和也
『最も危険な名作案内』ワニブックス 2009 p.4-5
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2010/10/01
詩的言語は、「二重」になっているのである
「詩的言語は、
テクスト内部の空間においても、
もろもろのテクストからなる空間においても、
「二重」になっているのである。
ソシュールのいう詩のパラグラム(「アナグラム」)は、
0から2へと拡がっている。
すなわちこのパラグラムの領野には
「1」(定義、「真」)は存在しない。
ということは、
定義、規定、等号(「=」)、
そして能記-所記という
(階層のある)垂直区分を仮定する
記号の概念そのものといったものは、
詩的言語に適用されるわけにはゆかない、
ということを意味する。
詩的言語は、
無限に拡がる組み合わせであり、
結合なのであるから。」
ジュリア・クリステヴァ
『記号の解体学[セメイオチケ]〓』
せりか書房 1983 p.67
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2010/09/30
ウィリアム・バロウズ『ジャンキー』冒頭書き出し
「おれが初めて麻薬を知ったのは
戦時中の一九四四年か五年ごろのことだ。
おれは、そのころ造船所で働いていた
ノートンという男と知り合いになっていた。
本名をモレリとか何とかいうノートンは、
戦争前に給料支払い小切手を偽造して
陸軍から追い出され、
最下等の注意人物という
烙印をおされていた。」
ウィリアム・バロウズ
『ジャンキー』冒頭書き出し
思潮社 1980 p.18-19
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2010/09/17
電書は「黒船」とか「ビッグビジネス」じゃない。
「興味があるのは
「電子書籍ビジネス」じゃなくて、
コンテンツの作り手から見た
電書の可能性。
ぼくにとって、
電書は
「黒船」とか「ビッグビジネス」じゃない。
街を自由に巡る
野良猫のようなイメージ。
野良電書です。」
米光一成・小沢高広・電子書籍部
『誰でも作れる電子書籍 いますぐできる制作から販売まで』インプレスジャパン p.13 2010
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2010/09/05
結論:ヴァルター・ベンヤミンの「翻訳者の使命」
「翻訳者は
定義からして
低賃金であり、
定義からして
過剰労働であり、
彼がたまたま
詩人である場合を除いては
(そんなことがしょっちゅうあるわけではないのですが)、
定義からして
歴史が彼を
原作者と同等のものとして
残してくれることもないでしょう。」
ポール・ド・マン
「結論:ヴァルター・ベンヤミンの「翻訳者の使命」
『理論への抵抗』p.164-165
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2010/09/02
諸葛亮「将苑・将誡」より
「才に傲りて
もって
人を驕らず、
寵をもって
威を作さず」
諸葛亮
「将苑・将誡」
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2010/08/31
当然の道はすべて実行するのである吉田松陰
「人間が
生まれつき持っているところの
良心の命令、
道理上かくせねばならぬ
という当為当然の道、
それは
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2010/08/26
『詩を書く少年』詩はまったく楽に、次から次へ、
「詩はまったく楽に、
次から次へ、
すらすらとできた。
学習院の校名入りの
三十頁の雑記帳はすぐ尽きた。
どうして詩がこんなに
日に二つも三つもできるのだろうと
少年は訝かった。
一週間病気で寝ていたとき、
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2010/08/24
2010/08/23
乗り越えるべき旧い小説さえ私は持っていなかった
「新しい小説を
目指したためではなく、
乗り越えるべき
旧い小説さえ、
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2010/08/22
言葉さえ美しければよいのだ。そうして毎日、
「詩は
あらゆるものと
別物である。
彼は
微妙な嘘をついていた詩によって、
微妙な嘘のつき方を
おぼえた。
言葉さえ美しければ
よいのだ。
そうして毎日、
辞書を丹念に
読んだ。」
三島由紀夫
『詩を書く少年』
2010/08/22
翻訳者は最初から失敗する運命なのです。
「…翻訳者は
その定義からして
失敗するということです。
翻訳者は
原作と同じことはできないのです。
どんな翻訳も
その原典に対しては
2次的なものであり、
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2010/08/20
インスピレーションを信じないというのではない
「父は、
皆が芸術家というものに対して
抱いている一般のイメージとは
およそ遠いタイプでした。
理屈をこねる事を嫌い、
どちらかと言うと
単純な人でした。
そして何よりも
大切なのは仕事をする事、
続ける事、
インスピレーションを信じない
というのではなくて、
仕事を続けていてこそ、
それが湧くものだ
と信じていたのです。」
嘉野みさわ
「ジャン・ルノワールの語る父ルノワール」
ルノワール展実行委員会『ルノワール展図録』虹画社 1983



